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「桜の森の満開の下」:映画チラシ・第142回目 [超絶!映画チラシ!]

「桜の森の満開の下」

 日比谷千代田劇場 道玄坂渋谷東宝 上野駅前上野東宝

“満開の桜が恐ろしいように
 愛もまた恐ろしい・・・
 ひとの心にひそむ怪奇を
 美しいまでに鋭く描く
 衝撃の大作!       ”


 (誰が書いたか知らねども!表に掲載されてるコピー文っす!)
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 裏面に、よりますとっ!

●ものがたり

 山賊は、山に入って来た旅人を当然のように襲い、男は殺し、気に入った女は女房にしました。山賊は、山頂の自分の家から見える山という山、谷という谷は、すべて自分のものだと思っていたからです。しかし、あの桜の森だけはいけないと山賊は思いました。俺より凄い魔物か何かが住んでいるのだ。特に桜の花が満開の時は恐ろしい、風もないのにゴーゴーと鳴って、下を通ると気が狂ってしまう。実際、気が狂ってしまった人を、山賊は、何人も見ているのです。
 春、桜の満開のころ、山賊は都からの旅人を襲いました。そして女と出合ったのです。その女は、今まで見たこともないぞっとするほどの美しい女でした。その目は、思わず引き込まれてしまう谷川の深い淵のようでした。
「今日からおめえは、おれの女房だ」と山賊はいいました。
「女房ならおぶっておくれよ、こんな山道は歩けないよ」女はいいました。
 女は、山賊の家に住んでいた七人の女房を次々と殺させました。ビッコの女一人をのぞいて・・・。そして毎日淋しがり、都の暮らしを恋しがりました。山賊が都の人から、どんなに美しい着物や笄を奪ってきても満足しませんでした。
 都に暮らすようになってから、女は“首遊び”を始めました。姫の首、公卿の首、坊主の首。首と首は愛しあい、悲しみ、怒り、泣き、女はそれを楽しみました。山賊は、女の望むままに、夜毎いろいろな生首を狩って来ました。
 山賊はやがて、果てしなく続く首集めにいや気がさしてきました。都は、山賊にとってとても淋しく退屈な場所なのです。
「おれは山でないと暮らしてゆけない、山へ帰る」山賊はある日、遂に我慢出来ずにこういいました。
 女の目からは急に、大粒の涙がパラパラと夕立ちのように落ちてきました。
「私もいっしょに山へ行くよ。おまえと首とをどっちか一つ選べといわれれば、私はおまえを選ぶよ」
 初めて出合った時と同じように、山賊は女を背負って山を走りました。桜の森はまさに満開でした。山賊は思いました「今日みたいなうれしい日だもの、桜の森だって恐くはないさ」女を背負って花吹雪の森の中に入るとやっぱり獣のうめくような声がゴーゴーと聞こえました。山賊は走りました。恐怖が背中から迫ってきます。ふり返った山賊の目に、背中から自分の首をしめている老婆の鬼が見えました。山賊は狂ったように走り、もだえ、渾身の力をふりしぼって鬼をふり落して首をしめあげました。
 気が付くと、足もとに桜の花びらに埋まって息絶えている女がいました。慟哭する山賊の声は、桜の森をふるわせ、落ちて来る花びらは二人のすべてを包み込んでしまいました。
 誰もいなくなった満開の桜の森は、無気味にざわめき、凄まじい美しさに満ちていました。

●かいせつ

 原作は日本無頼派作家の代表・坂口安吾の名作で、救いのない人間の孤独を幻想風に描いた短編である。映画化については原作者自身がジャン・コクトーばりに演出を望んでいたがそれをはたさず死んだ。その後、数多くの監督が映画化を試みたが失敗し幻の企画と呼ばれてきた。
 そして原作発表から28年ぶりに篠田正浩監督により映画化された。「心中天網島」「無頼漢」「沈黙」「卑弥呼」と、常に“日本人の思想と美”を追求し続けた篠田監督に、まさにふさわしい題材といえよう。
 物語は、十二世紀とおぼしき頃、鈴鹿峠を支配する山賊が7人の妻を持ちながら、都の女の美しさに心うばわれ、その妻の一人を残し斬殺し、妻の座にすえる。しかし、彼女のわがままで残酷な性格にたえかねた山賊は、日頃、恐れおののき近づいたことのない桜の森の中で彼女を鬼と錯覚し殺してしまう。
 桜と日本人を通じて怪奇と幻想に包まれた人間の孤独な世界を国際的な感覚で描く、まさにカンヌ映画祭のグランプリ候補といえる芸術大作である。
 脚本は作家の富岡多恵子と監督があたり、美術に画家の朝倉摂、題字を篠田桃紅と各分野での第一人者が担当。
 主演は若山富三郎、岩下志麻の異色組合わせ、共演者に伊佐山ひろ子、笑福亭仁鶴、西村晃、新人・丘淑美など話題のキャストである。製作は佐藤一郎、市川喜一による芸苑社作品。

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 まずは一言。

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若山富三郎は勝新太郎のお兄さんなのでございます!この山賊役の若山富三郎は、なかなか笑える・・・ぞ、と。
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 して、篠田正浩ね。この「桜の森の満開の下」あたりが分岐点っすかねぇ~。オモロさの。

 あっしは、最初に「心中天網島」を観たんすよ、篠田正浩。
 スッゲ~~ッ良かったんだよぉおおおお!マジ!シュール!白黒映像美!
 人形浄瑠璃を人間の役者でやるんだけど、あっちこっちに不気味に黒子がちらちらいるんだよね。人形人間と黒子。マジ!すっげー斬新で、マジ!天才かと思ったよ、篠田正浩!
“しんじゅぅう~てんのぉ~あみじまぁ~!”ってねぇ!

 後は「暗殺」かなぁ・・・司馬遼太郎の短篇「奇妙なり八郎」の映画化。
 清河八郎の話で、この間、お亡くなりになった丹波哲郎がやったの、あれも、実に白黒の味わいがあって良かったなぁ~。映画全体がピィ~ン!としてたよなぁ。最後の“土から酒が匂いたった・・・だっけ?(自信ない・・・)”ってな、実に素晴しい味わいがあたのぅ!

 それが、どうしたことかねぇ・・・。どこに行ったかねぇ、あの才気は・・・。

 この「桜の森の満開の下」までくらいかねぇ。でも、あっしは、この映画、途中から相当眠くなったっすよ。カラーになってから、つまんなくなったんじゃないっすかぁ?篠田さん。
 確かに桜の映像なんかは凄かったと思ったけど、坂口安吾の原作は、もっと残虐で、その残虐さが美しく描かれてないと、せっかくの満開の桜の下で人は気が狂うの説得力がねぇ。
 だいたい、生首遊びって、原作だと、もっと狂気に満ちてたよな。それが、モロ、ハリボテで・・・。がっくりだ。全体的にも、ちょっとタルい映画だったっすよ。でも、まだ、いいとこ色々あったんだよね。

 その後、「夜叉ヶ池」なんか、最初に山崎努が砂漠みたいなとこ歩いてくシーンの後で、もう眠くなって、玉三郎が出て来たあたりで、寝たっす、起きたら、どっかの海外ロケのド迫力な滝のシーンだ・・・。
 「悪霊島」なんかも、ビートルズの「レットイットビー」と「ゲットバック」(だっけな?)を使ったって話題になって、見てみると、つまんねーの!同じ横溝正史・金田一ものでも、こうも違うかと、市川崑の偉大さを実感しちまったよ。
 ああ・・・ホントは篠田正浩、好きだから、あんまし悪口言いたくないんだけどな~、いいとこもあるんだけどねぇ・・でも、「梟の城」なんか、ヤル気を感じなかったぞ・・・。
 それだけ、あっしは、白黒時代の篠田正浩の才気は凄かったと言いたいんだ!

 ちなみに、この「桜の森の満開の下」の頃になると、あっしの中で岩下志麻は、完全に鬼女のイメージで固まったよ。
 後の野村芳太郎の「鬼畜」なんかで、さらに岩下志麻のイメージが鬼女として倍増したよ。おー、恐い恐い。。。象印マホービンの「象印夫人」のCM、止めてくれよ、あっしは鳥肌が立つんだ!恐いんだ!

 長くなっちまったけど・・・若山富三郎は、バクテンが出来るんだぜ!

 まだまだ!
 あっしは、長年、こっちの桜じゃなくて、梶井基次郎「桜の樹の下には」を誰か上手く映像化してくれねぇかと思ってんだよ!

 坂口安吾は好きだけど、桜の樹に関しちゃ、梶井のあの短篇のインパクトの方が、あっしにとっちゃ絶大なんでっさぁ!
 あっしも19才頃に大病を患いましてね、井の頭公園の満開の桜を見て、ほとんど梶井基次郎のあの短篇と同じ妄想に襲われたっすよ。
 あっしは、実に桜が気味悪い。特に満開時はダメだ、吐きそうになるっすよ。

 ちょっと最後に梶井「桜の樹の下には」の文章を抜粋!
桜の樹の下には屍体が埋まっている!・・・何故って、桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことじゃないか。・・・・馬のような屍体、犬猫のような屍体、そして人間のような屍体、屍体はみな腐爛して蛆が湧き、堪らなく臭い、それでいて水晶のような液をたらたらとたらしている。桜の根は貪婪な蛸のように、それを抱きかかえ、いそぎんちゃくの食糸のような毛根を聚めて、その液体を吸っている。何があんな花弁を作り、何があんな蕋(ずい)を作っているのか、俺は毛根の吸いあげる水晶のような液が、静かな行列を作って、維管束のなかを夢のようにあがってゆくのが見えるようだ。・・・”
 っと!あっしも、無数の屍体のドロドロの養分を吸収して、あーいう風に満開の桜が咲くに違いない!っと!同感だ!
 壮大な美の裏には必ず、無数の死がある!
 美と死は表裏一体なのだぁぁああああー!って、ねぇ。

“桜の樹の下には屍体が埋まっている!”んだぁぁああああ~!

 うかつに満開の花見で酔っ払ってバカ騒ぎしとるとっ!気が狂っちまうぞぉぉおおっ!

 ・・・ああ、また一言では終らなかったなぁ・・・長くなっちまった・・・
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篠田正浩監督作品 坂口安吾原作<角川文庫版>
●スタッフ
製作・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・佐藤一郎
 〃 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・市川喜一
原作・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・坂口安吾
脚本・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・富岡多恵子
 〃 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・篠田正浩
監督・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・篠田正浩
撮影・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・鈴木達夫
音楽・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・武満徹
美術・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・朝倉摂
 〃 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・内藤昭
録音・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・西崎英雄
装飾・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・荒川大
照明・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・井上武
編集・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・山路早智子
スチール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・山本一生
監督助手・・・・・・・・・・・・・・・・・・・小泉真
製作担当者・・・・・・・・・・・・・・・・・飯泉征吉
協力・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・加藤正夫
題字・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・篠田桃紅

●キャスト
山賊・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・若山富三郎
女・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・岩下志麻
ビッコの女・・・・・・・・・・・・・・・・・・伊佐山ひろ子
旅人・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・滝田裕介
女の亭主・・・・・・・・・・・・・・・・・・・西沢利明
居酒屋の男・・・・・・・・・・・・・・・・・笑福亭仁鶴
六条の姫君・・・・・・・・・・・・・・・・・丘淑美
大納言・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・観世栄夫
年増女・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・荒木雅子
老人・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・加藤嘉
僧都・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・関山耕司
乞食・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・浜村純
検非違使・・・・・・・・・・・・・・・・・・・西村晃
放免 A・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・常田富士男
  〃 B・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・松山照夫
  〃 C・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・金井大
役人・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・佐伯赫也

原作 坂口安吾 篠田正浩監督作品
製作■佐藤一郎・市川喜一
脚本■富岡多恵子・篠田正浩
株式会社芸苑社作品・東宝株式会社配給
撮影■鈴木達夫 美術■朝倉摂■内藤昭 録音■西崎英雄 装飾■荒川大
照明■井上武 音楽■武満徹 題字■篠田桃紅
若山富三郎 岩下志麻 
西村晃 観世栄夫 加藤嘉 笑福亭仁鶴 丘淑美 伊佐山ひろ子

裏面は、こんな感じっす 


 ・・・例によって、次回は、いつになるか何になるか不明っすよ!
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kipple

お!あれ?いつの間に!
こんばんわ!はじめまして!
nice!どうも有難うございますー!クロエさん!
by kipple (2006-10-20 00:17) 

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